東浦和展示場 大谷口の家
「間」を重ねた寛ぎの住まい

2021年度
グッドデザイン賞受賞実例
2021年度
グッドデザイン賞受賞実例
東浦和展示場大谷口の家
デザイナー 舘林 寛佳
格子や障子、土間などの日本古来の建築技術を取り入れ、
内外をあいまいに切り結び空間分けとする。
あいまいさは緩やかに繋がり、居心地の良さの「間」を生み出す。
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外部木格子を開くと地域との繋がりが生まれる「通り土間」
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「間」のつくる仕切りのない緩やかな空間の繋がり
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生活の様々なシーンが繋がる中間領域的な吹き抜け空間
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周辺の自然を取り込み外部環境との繋がりをつくるウッドデッキ
デザイン概要
格子や障子、土間など、日本古来の建築技術は空間を曖昧に切り結び、独特の中間領域を作り出す。外部空間と内部空間を緩やかに繋ぐだけでなく、縦の「間」、横の「間」を重ねることで間仕切りを無くし、そこに住まう人々が「空間」「人」の繋がりを感じられる事を核に設計した。
「大谷口の家」は、レベルの違う連続した空間で構成され、場を視覚的に繋いだ中間領域は、住まう家族の生活シーンそのものを紡ぐように、多彩な日々の体験を結びつけ、家族の存在を感じられる居心地の良い住まいを目指した。
ライフスタイルが変化している現代では技術の進化が加速し、利便性を追求していく一方で家族のコミュニケーションの形も変化している「ひとつながりの空間で過ごすこと」その大切な時間の価値を高め、接点を誘発する住まい。
高低差のある空間は仕切りを極力排除することで、行き止まりをなくし、つながりを感じ、中間領域を取り入れた住まいを実現。
通り土間は、外部格子・障子を開閉し、人と地域がゆるやかに繋がる住環境が生まれる。
木・塗り壁といった「和」を意識した素材で囲まれる場所で、座り、集って、寝転ぶことで、自然の癒しや寛ぎを与える場を計画。
庇や軒、格子や障子、土間などの文化は日本の気候(四季)を考慮したパッシブデザインを取り入れた。
それぞれの要素によって、家族同士、人と地域と「つながる」デザインを計画した。
配置図 兼 1F 平面図 1/100
2F 平面図 1/100
3F 平面図 1/100
- 用途
- 戸建て住宅
- 階数
- 地上3階建
- 建物高さ
- 最高:9,700mm、軒高:8,985mm
- 構造
- 木造軸組工法
- 敷地面積
- 110.61㎡
- 延床面積
- 133.23㎡(一階床面積:53.82㎡、二階床面積:54.24㎡、三階床面積:25.17㎡)
- 建蔽率
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- 用途地域
- 第二種住居地域・第二種中高層住居地域
- 内部仕上
- 床仕上:無垢板フロア貼り、畳、カーペット
壁仕上:クロス、タイル、寂び土塗り
天井仕上:クロス、シナ合板貼り - 外部仕上
- 屋根:ガルバリウム鋼板、心木なし瓦棒葺き
外壁:既調合軽量モルタル+ジョリパッドα
開口部:アルミ樹脂複合サッシ
断熱:ポウハウスオリジナル断熱仕様(ZEH対応)
審査員評価
格子戸や障子、軒先や土間、畳など、伝統的な日本の住宅が持っていた建築言語を駆使し、実に多彩な中間領域を生み出している。
その使い方は、単にノスタルジックな嗜好によるものではなく、むしろ現代的な技術と再解釈を通じて展開されたもので、今なおこうした要素が住まいにおいて有効に働くことを示してくれている。
一方で、幾つもの床レベルの設定や吹き抜けなど、現代的な言語も随所に展開し、その伝統的な言語と現代的な言語の統合が見事である。
デザイナー 舘林 寛佳

デザイナー 舘林 寛佳
Q1.今回の受賞作品に取り組むにあたり、
苦労した点、工夫した点を教えてください。
計画の中で、大きな器としてのコンセプトは昨年と同様な考えの中、全体の空間の繋がりと動線、そこに素材が持つ力をどのように表現できるか、設計の空間の意図がどう伝えられるかを見つめ直しました。

Q2.受賞が決定した時のお気持ちをお聞かせください。
率直に嬉しかったです。
これまで創り上げてきたことを振り返ると、頑張ってきた分報われた気持ちでした。
Q3.今後の抱負、取り組んでいきたいことをお願いします。
ポウハウスが発足して20年、目指すべき建物のデザインコンセプトである「和の心を継承し、暮らし方をデザインする ポウハウス」が、今回の審査委員から頂いた評価コメントと多々通じる内容でもあり、改めてポウハウスとして、継承していきたい内容とも感じました。また個人的には、今後他の国内コンペや国際コンペにも参加したりなど、楽しみながらチャレンジ精神をもって挑戦できればと思います。
