Award
受賞タイトル
Concept
住まい手どうし、及び社会との距離感を再定義した住宅。
コロナウィルスの流行は、住宅への価値観の転換点となった。人と人、人と社会の関わり方が変わった昨今、余剰空間に計画されがちの庭に着目し、庭を建物の中心かつ外部からのアプローチに配置する事で住まい手同士、及び社会との適切な距離感を作り出す緩衝帯としての役割を与えられないかと考えた。在宅時間が増え、住宅は単に安らぎの場ではなくなってきている。住宅が職(在宅ワーク)をはじめ、学び(自宅学習)や遊びの場にもなる。必然と家族間の距離は今までにも増して近くなり在宅時間が増えたが故に過去に感じたことがないようなストレスを抱える人も多くなった。
その中で、住宅における家族間の距離の取り方、外部空間の在り方を問うため、社会への発信源となる住宅展示場に於いて、ウチノニワを提案する。
審査員評価
住宅における家族間の距離の取り方や外部空間のあり方を広く社会に発信することを目標に、住宅展示場に建てられた住宅である。庭を中心に、いかに内部空間に庭の豊かさを取り込むか、という姿勢はもちろんのこと、その提案が、平面計画だけではなく、立面の多様な表情としても現れている点に、多くの評価が集まった。内外の連続性を誘導するために、床の素材を揃える工夫や、緑が映える外壁色を選択するなど、目標の実現に向かうための具体的なアイデアの数も多く、好感を覚えた。ぜひ、多くの完成住宅でこの姿勢を展開・発展させてほしい。【2022年度グッドデザイン賞】
Gallery
外から内へ緩やかに導かれる。豊かな自然と開放的な暮らし。
①都市、街と距離を保つアプローチ空間としての庭はプライバシーの確保と開放的な暮らしを実現し、外から内へ緩やかに導かれる。
②庭と居間を一体的に使う、アウトドアリビング、趣味スペース、走り回ったり、ヨガ、宅トレなど在宅時間をより充実させる為の内の延⾧としての庭を実現した。
③庭を歩いてハナレへ、家でありながら職住分離の為の庭がある。社会、オフィスなど外からはみ出してきた空間を内と分離した。
④庭と上部の吹抜けは、各室の窓際空間と繋がり、季節を感じる。籠りたい時の様々な居場所を外と内の際に創出した。