GOOD DESIGNAWARD
2012年度受賞 山田 英彰 前川の家
都市型住宅密集地の敷地を背景に、クライアントの要望は家族同士が気配を感じ、開放的かつプライバシーを確保することが出来る事。南道路に面した近隣街並は、バルコニーから露出する洗濯物や掃出し窓から室内が剥出しになる無秩序な景色が連なります。「自分のことばかり考えず、周辺を見渡しながら住宅設計を考える」事により内外において新しい風景を創出しました。威圧しない高さを抑えたファサード。外部と内部の繋がりも街並みに対しての景観を考慮しながら計画。内部は有機的で開放的、小高い丘を散策している様なスキップフロア空間構成にし、空間は一体化しながらも床レベルや階層に変化をもたらし、居心地良い住空間が点在します。
設計の趣旨DESIGN SUMMERY
長期優良住宅先導モデル。「いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使う」というストック社会の住宅にする為、オリジナル耐力壁やオリジナル構法を駆使したサスティナブルで可変性の高い空間の実現や高断熱工法と給気予熱換気システムによる省エネと温熱環境のバリアフリー、地域の気象データを用いた通風設計、適切な点検・修繕による永続的な維持管理・保証システムを使用し、長寿命化を目指しました。
デザイナーの想いDESIGNER'S FEELINGS
住宅設計のおいて一番大切なことは全てが個人の所有物ではないという認識です。小さな働きかけですが、環境や風景といった部分に寄与できる様に工夫しながらデザインし、それが集合体となったとき、より豊かな世界が形成されていくと思います。
PLANNING


H.YAMADA
アメリカで培ったものは、文化の狭間から見えた家に対する価値観。 家という一番身近な環境が、どれほど人に影響を及ぼすかを考える。 「家は人を育てる器」だということ。
審査員の評価EVALUATION
外からは覗かれないけれど家の中からは空が見え、光が取り込めて風も通る住宅というのは、高さの違う建屋が集まる都市型密集地では大きな課題となる。加えて「住宅は全てが個人の所有物ではなく、周囲の景観に配慮し、寄与するべき」とする設計思想から導かれた街路に対する開口のバランスと内部のスキップフロア構成が反映された外観を持つ。プライバシーを守りつつも街路との関係を作ろうとする姿勢を評価したい。ファサードに緑がないのが気になったが、屋上庭園の準備がなされているので、上部に木の葉の揺れる将来の外観に期待したい。