GOOD DESIGNAWARD
2011年度受賞 廣瀬 和哉 Garden Pot「アルジール」
設計の趣旨DESIGN SUMMERY
外観の特徴として、建物を大きな植木鉢と見立てた。植木鉢は本来、好きなものを植え、自由に移動できる、簡易的な緑化の手法である。都市部においても、玄関先から道にはみ出さんばかりの植木鉢など、よく目にする風景である。その人々に親しまれた植木鉢の文化を、住宅として考えたのが今回のプロジェクトである。
5つの外観を形づくるブロックからのびる緑は、都市部において人工的な緑化の象徴となり、地球環境への取り組み方や、都市型住宅としてのこれからのあり方を提案する。それは、住宅レベルでの取り組みとして、基点となることを願った。そして、そこに生活する人が自然へのつながりや、環境への配慮を考えていくことなど、狭小住宅での新しい可能性を創造している。
住人は、その植木鉢の中に生きる蟻のように、立体的な活動をイメージして部屋ごとをトンネルのような通路で結んだ。そこにはドアの必要性を限りなく排除し、程よく近い、家族のつながりを生み出した。各部屋は外部に対して程よく閉じつつ、大地に見立てたバルコニー緑化へと続いている。それは大地に抱かれるような安心感とともに、心地よい開放感をもたらしている。
デザイナーの想いDESIGNER'S FEELINGS
ゆっくりとした変化をしてきた太古の地球環境は、文明の発展とともに、急激な変化の歩みを進めている。そのような今を生きるわれわれの生活が、あらためて「常に自然とともにあること」の再確認をしていきたい。
PLANNING




審査員の評価EVALUATION
大きな植木鉢のような外観がユーモラスである。自然とともに暮らすということは、何か大げさな原理を振り翳さなくとも、身近な自然を楽しむ姿勢が街に溢れ出すだけでも充分に伝わってくることを教えてくれる家である。