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ZEH住宅とは?メリットやデメリット、おすすめ設計方法を紹介
昨今ZEH住宅が大手ハウスメーカーにより取り入れ始められて注目を集めています。ZEH(ゼッチ)住宅とはSDGsがテーマとなっているこれからの時代に標準を合わせた新しい住宅様式です。
ZEH住宅にはメリットだけでなくデメリットもあるので、ZEH住宅の購入を考えている場合はあらかじめ確認しておくと安心です。
この記事ではZEH住宅の概要やメリット・デメリットについて解説していきます。その他に快適な住環境を実現するための設計手法も紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
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ZEH(ゼッチ)住宅とは?
ZEHとは「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称です。netとは「正味の」という意味で、例えばnet重量であれば包装紙や箱などを除いた、純粋な内容物の重量だけの重さを指します。つまり「net Zero Energy House」とは「エネルギー収支を限りなくゼロにする家」という意味です。
ZEH住宅では高断熱素材の利用、省エネルギー設備、太陽光発電などにより、生活で消費するエネルギーより、創り出されるエネルギーが上回る状況をつくり出します。
ZEH住宅は日本が一次エネルギーの約9割を輸入に頼っていることや、自然災害に対する国内エネルギー供給の強化などの観点から政府によって推進されているプロジェクトです。ZEH住宅の目的を実現するためには、エネルギーを捻出することだけでなく、使用するエネルギーの量を大幅に減らすことも重要です。
2030年にはZEHが新基準に?政府の目標とは
経済産業省資源エネルギー庁では以下の目標を掲げています。
・2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画において、2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す。
・2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す。
引用元:経済産業省 資源エネルギー省:ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について
上記の政府目標の達成に向けて、ZEHの普及に向けた取り組みを実施していくとしています。
政府は2016年度から、自社の受注においてZEHの割合(ZEH化率)を2020年までに50%以上にするとの目標を掲げたハウスメーカーなどに対して「ZEHビルダー」として公募、登録し、屋号・目標値等の公表を行ってきました。
さらに政府は2030年の目標達成に向けて、2021年度からは新たに基準を設定しています。前年度の供給率に応じてZEH化率が50%を超えている場合は75%以上を、50%未満の場合は50%以上を2025年度の目標として公表した新たな「ZEHビルダー」制度の運用を開始しました。
ZEH住宅、パッシブハウス、省エネ住宅の違いとは?
ZEH住宅には、「アクティブエコ」と「パッシブエコ」の2種類の考え方があります。
「アクティブエコ」は、機械設備によりZEH住宅を実現する方法で、冷暖房機器や換気システムの熱交換を機械的に行い、大容量の太陽光発電を設置する事によって、エコな住まいを実現します。
それに対して、「パッシブエコ」は、ドイツのパッシブハウス研究所が開発した省エネ設計住宅の考え方を導入し、冷暖房機器に頼らず、断熱材や高性能な窓、熱ロスの少ない換気システムなどを使用して、室内を快適に保ちます。太陽光発電も、必要な分だけ設置してZEH住宅を実現します。その為、冷暖房負荷や一次エネルギー消費量などで、厳しい基準が設けられています。
「アクティブエコ」も「パッシブエコ」も、ZEH住宅を実現する。というコンセプトにおいては同様と言えるでしょう。
「アクティブエコ」は、機械的な設備に寄って実現するエコですので、設計者の能力が足りなかったとしても簡単に実現できます。
一方、「パッシブエコ」は、通風や日射遮蔽を、設計計画によってコントロールし、快適でエコな住まいを実現しますので、設計者の能力やノウハウに寄る所が大きい事が特徴です。
省エネ住宅とZEH住宅は、かなり似ていますが、基準の厳しさに違いがあります。従来型の省エネ住宅は「建築物省エネ法」に準じて施工されますが、この「建築物省エネ法」は建設する地域や日照条件などによって基準が異なっています。したがって同じ条件で施工されても地域や条件によっては省エネ住宅とは呼べない場合もあるという状況です。
より厳しい基準が設けられており、かつ自らもエネルギーを捻出しようとするのがZEH住宅です。
ZEHの判断基準
省エネよりも厳格なZEHの判断基準はどのような基準なのでしょうか。ZEHの判断基準は「ZEH Oriented」「Nearly ZEH」「ZEH」の3段階で異なります。以下がそれぞれの判断基準です。
ZEH
以下の1~4のすべてに適合した住宅
”1.ZEH強化外皮基準(地域区分1~8地域の平成 28 年省エネルギー基準(ηAC 値、気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上で、UA 値[W/m2K]1・2地域:0.40 以下、3地域:0.50 以下、4~7地域:0.60 以下)
2.再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量削減
3.再生可能エネルギーを導入(容量不問)
4.再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エルギー消費量削減”
引用元:経済産業省 資源エネルギー庁. 「ZEHの定義(改定版)<戸建住宅>」.
Nearly ZEH
以下の1~4のすべてに適合した住宅
1~3はZEHと同様。
”4.再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上 100%未満の一次エネルギー消費量削減”
引用元:経済産業省 資源エネルギー庁. 「ZEHの定義(改定版)<戸建住宅>」.
ZEH Oriented
以下の1および2のいずれにも適合した住宅
1.ZEHと同様
“2.再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量削減”
引用元:経済産業省 資源エネルギー庁. 「ZEHの定義(改定版)<戸建住宅>」.
上記を見て分かるように「ZEH Oriented」「Nearly ZEH」「ZEH」の順に基準が厳しくなります。
ZEH住宅のメリットとは?
【施工事例】外と中が繋がるZEHの家ここからは具体的なZEH住宅のメリットについて紹介します。ZEH住宅のメリットは主に「光熱費の削減」「もしもの時の非常電力を備えられる」「ヒートショック予防が可能」「補助金制度を活用できる」の4つです。それぞれ詳しくみていきましょう。
光熱費の削減
無駄なエネルギーを使わない省エネシステムや断熱効果の強化、太陽光発電による自家発電などにより自然のエネルギーを最大限に活かすことで光熱費を削減できます。
ZEH住宅は高断熱化も省エネ住宅の場合と比べてその基準はさらに厳しくなっています。高断熱の家は、室温を一定に保ちやすいため、季節を問わず快適に過ごすことが可能です。たとえ省エネでも夏の暑さ、冬の寒さを我慢する必要はありません。
またZEH住宅の特長は自家発電の設備を備えている点です。発電した電力は、自家消費に充当され、余った電力は電力会社に供給され、収益が得られたり、太陽光発電のリース料金に充当されたりするのもメリットです。
もしもの時の非常電力を備えられる
ZEH住宅では、自家発電した電力を、蓄電池や電気自動車を備える事によって充電が可能です。台風や地震など、災害発生に伴う停電時においても、電力を補うことが出来るので、もしもの時でも安心です。
今後ZEH住宅と共に電気自動車の普及率も高くなっていくことが想定されます。電気自動車の充電が自宅で可能になればガソリン代の節約にもなり、光熱費の節約と合わせての相乗効果が期待できます。
ヒートショック予防が可能
ZEH住宅はヒートショックの予防が可能になります。ヒートショックとは急激な温度の変化が原因で身体がダメージを受けることです。入浴中に亡くなる原因の多くはこのヒートショックとされています。特に冬場は暖かい部屋から寒い浴室に移動することになるため急激な温度の変化による血圧変動で心臓に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中の原因になりかねません。
ヒートショックを予防するには、部屋間の温度差を減らす事が必要です。ZEH住宅では、部屋間の温度差が少なく、夏は涼しく冬は暖かい快適な環境で過ごす事が可能です。特に冬は、効果的に家全体を暖める事ができるため、脱衣所に、特別に暖房器具を設置する必要がありません。
その為、ZEH住宅は、ヒートショック予防にも効果的です。
補助金制度を活用できる
政府が促進していることもあり、補助金制度を活用できる点はZEH住宅の大きなメリットの一つです。補助金制度は「ZEH」「ZEH+」「次世代ZEH」の3つの区分があります。
「ZEH+」とはZEHの定義を踏まえ、さらに高性能な住宅設備が備えられている住宅のことです。基準がZEHよりも高く、ZEH+ではZEHより5%増の25%以上の削減が求められます。その他にも「外皮性能の更なる強化」「高度エネルギーマネジメント」「電気自動車を活用した自家消費の拡大措置(EV等連携)」の3要素のうち2要素以上を採用しなければいけません。
「次世代ZEH」はZEHに充放電設備などの再生可能エネルギー設備を導入した、さらに高性能化した住宅のことです。補助金制度を利用するには公募期間内に申請をしなければなりません。また次世代ZEH+の場合はZEHビルダー、ZEHプランナー登録の建築会社を使わなければいけないため注意が必要です。
その他にLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅の支援制度もあります。LCCM住宅とは建設の段階からCO2削減に取り組み、設計にも太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーのシステムを組み込んだ住宅様式のことです。LCCMにおいても公募期間内の申請が必要です。
補助金制度の利用を検討している方は、常に最新情報をチェックしておくことが重要です。また、あらかじめ依頼する予定のハウスメーカーの担当者に相談しておくこともおすすめです。場合によってはハウスメーカーで相談会なども行っているので早めに相談し準備しておくことが重要です。
ZEH住宅のデメリットとは?
ZEH住宅のメリットを紹介してきましたが、同時にデメリットも存在します。ZEH住宅の購入を検討する場合はデメリットも同時に知っておくことが重要です。
ZEH住宅のデメリットとしては主に「初期費用・メンテナンス費用がかかる」「発電量が天候に左右される」「窓などの開口の大きさが制限される」の3つがあげられます。それぞれ詳しくみていきましょう。
初期費用・メンテナンス費用がかかる
ZEH住宅のコンセプトは省エネ+創エネです。自家発電することで消費した電力分を補うため太陽光発電システムを設置するのにはやはりコストがかかります。また発電システムだけでなく、省エネ設備の設置や、断熱性能の向上など、通常の住宅より費用がかかります。
一般的にZEH住宅にするための費用は、約200万〜250万円が目安です。もちろん家の広さによってはさらに費用がかかることもあります。したがってZEH住宅の建設には最初にまとまった費用が必要です。
またそれらの設備を長期利用するにあたって、定期的なメンテナンスが必要になり、メンテナンス費用も発生します。ただし光熱費の削減効果や補助金、ZEH住宅自体の資産価値が高く見積もられることを考えると長期的にそれらのコストは回収できるとされています。初期費用をある程度抑えてZEH住宅を実現する事でコストの回収が早まります。
発電量が天候に左右される
太陽光発電の発電量は天候に左右されます。太陽光で電力を生み出す太陽光発電は天候が悪いと、どうしても発電量が少なくなってしまいます。特に晴れの日が少なくなりがちな梅雨時や冬などは発電量が少なくなってしまうでしょう。
発電量が少なければ消費電力を補うことは難しく、売電による収入も下がります。安定した電力を得られないため発電による収支の計算は困難です。
しかし太陽光発電の技術は年々進歩しており、発電やコスト面での太陽光発電性能の向上が期待されます。
窓などの開口の大きさが制限される
家の断熱性能、気密性能を向上させるうえで重要なポイントは開口部です。窓やドアなどの開口部は熱が出入りする割合が大きく、出入りする熱量は全体の50〜70%に相当するともいわれています。
外壁や床に断熱素材を施したとしても開口部が大きければ、そこから大量の熱が出入りしてしまい断熱効果は薄れるでしょう。したがってZEH住宅に大きな窓やドアなどを設置することはそのコンセプトに反してしまうのです。
デザイン性を取り入れるために大きな窓やドアなどを設計するとしてもある程度制限されることが想定されます。またその場合はまた、その場合、断熱設計や開口部設計など、設計力に優れた住宅メーカーを選ぶと、断熱や通風、日射遮蔽など、トータルバランスの優れた設計提案が可能です。暮らしやすく、快適で、光熱費を抑える事が可能です
ポウハウスでは、ZEH住宅でありながら、リビングの「大空間」と庭への「大開口」を実現したお家の実績もあります。お気軽にご相談ください。
ZEH住宅で快適な住環境を実現する設計手法(パッシブデザイン)とは
パッシブデザインを用いることは、ZEH住宅で快適な住環境を実現するにあたっての重要なポイントです。パッシブデザインとは太陽光や風といった自然の力を利用して、建物の温熱環境を整える設計のことです。「パッシブ(受動的)」という言葉が表すようにパッシブデザインは自然のエネルギーをそのまま受け取る、地球環境に優しい受動的なデザインといえるでしょう。
一般的には断熱、日射遮へい、自然風利用、昼光利用、日射熱利用暖房などの項目に対して数値目標を設定して設計されます。
パッシブエコシステムとは?
パッシブデザイン住宅はパッシブエコシステムを取り入れています。パッシブエコシステムとは空調設備や太陽光発電などの設備に頼らず、自然エネルギーを積極的に利用したシステムです。パッシブエコシステムでは風や光を建物にうまく取り入れて快適な住環境をつくることを可能にします。
機械的な設備機器を駆使するアクティブエコと比較すると、より省エネ効果がありランニングコストを抑えられます。自然エネルギーを加工せずに、そのまま有効活用するのがパッシブエコシステムの特徴と言えます。
窓を閉め切っていても、空気は新鮮
パッシブエコシステムを用いた住宅では窓を閉め切っていても新鮮な空気を取り入れることが可能です。例えばポラスのポウハウスはマイルドエアフローシステムを採用しています。
ポウハウスのマイルドエアフロー -CHRの仕組み
マイルドエアフローシステムとは「快床空間」と「床下空間」に外気を流すことにより、室内温度に近づけてから、外気を室内に取り込むポウハウス独自のシステムです。です。のことです。冬は吹き出しの温度が高くなり足元の寒さが和らぎます。逆に夏は吹き出しの温度が低くなるため、室内に熱い外気が直接入り込むのを防ぎ快適性が向上します。
従来の計画換気システムと吹き出し温度の違い
日射しの熱をコントロールするために、方位に応じて2種類の高断熱窓「断熱Low-Eガラス」「遮熱Low-Eガラス」を使い分け、より快適な住空間を実現しています。
特殊金属膜をコーティング Low-Eガラス
自然の力を活かしたZEHの住まい事例
パッシブエコシステムをうまく取り入れたポウハウスの施工事例をご紹介します。
外と中が繋がるZEHの家
【施工事例】埼玉県越谷市敷地を大いに活用して、外と中が繋がる開放的な空間を演出。ご夫婦の人柄がとてもよかったので、ご家族の雰囲気を感じて様々な人が集う空間を意識して設計しました。
「仕切り」の存在が目立たないよう、サッシや建具は天井付けにし、壁と同化してスッキリ見えるように一工夫している点がポイントです。
ZEH住宅:Slow natural life
【施工事例】ZEH住宅:Slow natural lifeZEH住宅でありながら、リビングの「大空間」と庭への「大開口」を実現したお家です。
「家族がのびのび穏やかに暮らせる」「家族が自然とリビングに集まる」そんなお施主様の願いを叶えたデザインです。
この施工事例を担当したデザイナー山田英彰氏に相談する
※建築地が決定している方、もしくは購入予定の土地が決定している方のみ対象となります。
まとめ
省エネをコンセプトにした住宅様式は今までも話題になっていましたが、ZEH住宅はさらにその上をいく「省エネ」と「創エネ」を兼ね備えた住宅様式です。地球環境に配慮したZEH住宅は持続可能な社会を作り出すというSDGsのテーマとも合致しており、住宅性能のトレンドとなっています。
そしてさらに地球環境や地域の特性に配慮した住まいが、パッシブエコシステムを用いたポウハウスのZEH住宅です。
ポウハウスでは、オリジナル計画換気や地域の気象データを用いた通風設計で、24時間365日快適な暮らしを提供します。
ZEH住宅の購入・設計を考えている方は、ぜひ一度パッシブデザインを用いたポウハウスへご相談ください。立地や地形、通風を考慮しながら住まいをデザインしてきたポウハウスだからこそ、お客様のご要望に応じた快適な住まいを実現します。