欄間のある二世帯住宅
世帯ごとに玄関を設けた完全分離型の二世帯住宅。お互いのプライバシーを確保し、意匠性の高い欄間が世帯同士の繋がりを感じさせます。個性的な敷地形状を活かした間取りやインテリアの配色バランスなど、お施主様とデザイナー、各担当者がひとつになって創り上げました。
Data
- 所在地
- 埼玉県川口市
- 敷地面積
- 204.45m²
- 延床面積
- 191.05m²
一見すると何の変哲もない建設地ですが、敷地が奥に行くにしたがって斜めに広がっていく敷地形状をしています。そのため、敷地境界ラインに合わせて斜めの外壁ラインをつくり、凹凸によるデッドスペースを最小限にして、限られたスペースを最大限に有効活用しました。
道路に面した玄関には、外観をモダンに彩る木製の格子戸を設置。アプローチの形状は、玄関からまっすぐ配置するのではなく斜めに配置することで、安全性とゆとりを確保しました。玄関ポーチは、ちょっとした会話やご近所付き合いができるスペースとなっています。
住まいを格調高く演出する木製の格子戸
玄関が世帯ごとに分かれているので、お互いのプライバシーや生活スタイルに配慮しやすくなっています。
大人モダンなリビングは、床材にしっかりとした木質感を感じられるブラックウォルナットの突板を使用。黒や濃いグレー、こげ茶色のコントラストを意識したインテリアデザインです。勾配天井は、エアコンの出っ張りが気にならないようにコーブ照明を設け、光が柔らかくまわるように計画。またソファに座った時に、視線の先が広がるように工夫を施しています。
リビングに隣接する和室は、色彩をリビングダイニングに合わせ、床の間にはお施主様お持ち込みの欄間を飾りました。吊押入れの中段には引出しを設けており、ちょっとした物をしまうのに重宝します。
リビングを見渡せる、斜め配置の対面キッチン
2階LDKから繋がるロフトは、おこもり感とプライベート感のある空間。天井の低さが居心地の良さを生み出し、読書や音楽を愉しむなど、自分時間をゆっくりと過ごすことができます。
和を感じる色彩の造作洗面台とトイレ
モダンに彩られた玄関ホール
1階に親世帯のLDKを配置し、大きな窓からは枯山水を模した坪庭をいつでも愛でることができます。キッチンを壁付けにすることでリビング側から目立たず、ダイニングへのスムーズな動線も確保。化粧梁やクロスの色彩は、お施主様がお持ちの家具に合わせたシックな色使いで装いました。
和室は客間として使用できるよう、玄関ホールの近くに配置しました。お施主様がお持ちの調度品を活かした色彩や素材を選定し、細部まで統一感のあるインテリアでまとめています。吊押入れの下に設けた地窓から光を取り込み、自然な明るさと広さを感じられます。
懐かしさと趣を感じる欄間は、お施主様のお持ち込み品。繊細な意匠がモダンな雰囲気を醸し出し、お客様をもてなす空間を華やかに彩ります。玄関ホールからも欄間の表情を愉しむことができ、和の伝統装飾が日々の暮らしを豊かにしてくれます。
枯山水をイメージした趣ある坪庭
Designer
人は1日24時間平等にありその時間をどのように使うかはその人の自由です。
視線が開けて、風が肌にふれ、陽が入りポカポカする中の心地よい場所で本を読んだり、子供と遊んだり、お酒を飲んだり、人それぞれ充実した時間はことなるでしょう。
充実した時間の多い「時間の価値」の高い家が心の豊かさにつながる「良い家」ではないかと考えます。