格子が奏でるレトロモダン
古き良き時代を感じる昭和レトロな喫茶店や、星野リゾートの落ち着いた雰囲気がお好みのお施主様。室内に木格子を設え、リビングや和室に趣きを感じる和の色を施しました。日本の気候風土に合う伝統色を用いることで、落ち着きのある雰囲気とワンポイントアクセントを両立しています。
Data
- 所在地
- 千葉県柏市
- 敷地面積
- 106.58m²
- 延床面積
- 92.32m²
外部とプライベートスペースをあいまいに繋ぐ格子を設えた、和モダンな外観。隣家側にバルコニーを設け、適度な距離感と採光を確保しました。夜には格子からこぼれる光が、美しい情景を浮かび上がらせます。
建設地は北側斜線制限がかかる、高さ制限の厳しい地域。窓から室内に自然光をたっぷりと採り入れ、空間を最大限有効活用するために勾配天井を採用しました。外部からの視線に配慮し、室内には目隠しとなる木格子をデザインしています。
玄関に足を踏み入れると、和の素材に彩られた空間が住まう人やゲストを迎え入れます。ウォークスルータイプのシューズクロークを採用され、収納力とスムーズな動線を確保。周囲の天井を折り上げて照明を施し、意匠性の高い空間に仕上げました。
玄関を入ってすぐの場所に、和室を配置。入り口は茶室の躙り口をモチーフにし、隣に設えたニッチは躙り口の雰囲気に合わせて下地窓のようなデザインにしています。玄関の足元にはコンクリートの平板を使用し、モダンさと詫びの雰囲気を醸し出しました。
朱色の壁と黒の建具のコントラストに畳が融合する、落ち着いた和の空間。和室は客間だけでなく、冬場はこたつを置いてのんびり過ごしたり、多用途に活躍しています。また玄関から躙り口を通して朱色が垣間見えるさりげなさが素敵で、美しい意匠を楽しめます。
星野リゾートのスタイルとポウハウスの実例を参考にして造ったオリジナルの主寝室。小上がりのベッドスタイルは天井を低く見せる効果があり、寛ぎの空間を演出します。夜の照明が眩しくないように照明計画にも配慮し、特別感のある就寝スペースを叶えました。
木格子は赤松の集成材に、木の内部に浸透する優しい自然塗料のエボニー色を塗装しました。床材と木格子の素材を合わせることで、経年による色合いの変化が同じように変わる素材選びをしています。赤松の柔らかい素材感と、年月を経て味わい深く変化する木材の様子を楽しめます。
グリーンの壁や懐かしさを感じるデザインのソファーが、昭和レトロな雰囲気を演出。落ち着いた色合いの中にワンポイントで彩色を施し、色使いも和の配色を意識しました。壁際には下部収納を備えた畳ベンチを造作し、友人と集うシーンにも活躍します。
1階廊下から2階リビングの天井まで延びた木格子が主役のリビング。階段側の窓から格子越しに光が入り、ベランダ側からも光を取り入れることで開放感を創出しました。勾配天井とリビング上部のロフトが、変化のある空間を描いています。
リビングとロフトが繋がっており、一般的には壁で仕切るところをカウンターにする事で、天井の抜け感とロフトとの繋がりを創出しました。ロフトから溢れる光など、夜の住まいを彩る照明計画への配慮も感じられます。
三角屋根の勾配を感じられる、隠れ家のような空間。リビングと緩やかに繋がり、カウンターで意匠性を持たせながら空間を仕切りました。収納以外にも、趣味用品を飾るなどアイディア次第で使い方が広がるスペースです。
周囲を回遊できるキッチン一体型のテーブルは、昭和の古き良き時代のテイストとモダンな要素を融合した設え。対面で会話をしながら料理をしたり、小料理屋のようにお酒を楽しめる粋な雰囲気が漂っています。
キッチンはリビングから一段下げることで、快適な目線で会話ができる高さとなっています。美しいアーチを描いた書斎の下がり壁は、デザイナーと職人が一体となって仕上げた額縁のようなデザイン。その奥に見えるグリーンの壁がレトロな雰囲気を醸し出しています。
バルコニーへと視線が抜ける書斎
特別な時間を味わえる夜のバルコニー。リビングからこぼれる光がやすらぎを与え、大人な時間を演出します。内部と外部をフラットに繋げ、バルコニーとリビングの木目の方向を揃えることで、開放感と一体感を強調しました。
和を感じる色彩のトイレ空間
Designer
お客様の要望に、その建物を永く使ってもらえるような提案を加えて設計したいと常に思っています。
時代が変わっても色褪せない、次の世代にも愛される住宅が増える、そんな世の中になれば良いなと。