
Award
受賞タイトル
Concept
Rubin's House
本建築は、2つのヴォイドとスキップフロアによって、多様な居場所を境界なく緩やかに連続させた。
一つの空間に複数の居方を重ねることで、高い空間効率と豊かなコミュニケーションを両立するとともに、家族の気配や視線、声が自然と交わる環境を創出している。
ここでは、目的を持たずに立ち止まり、ふと目が合い、何気ない一言が生まれる。その小さな対話の積み重ねが、家族の信頼を育み、豊かなコミュニティを形成していく。
本建築は、固定化された間取りへの提案ではない。建築によって「会話する必然性」を再編集し、人と人とのつながりを未来へ継承する住まいの提案である。

審査員評価
都心に建つ三層の住宅でありながら、二つの吹き抜けとスキップフロアによって、家族の気配を常に感じられる住空間が実現されている。
AIやIT技術の発達により、家族同士でさえ直接的なコミュニケーションを取らずに生活できてしまう時代において、顔を合わせ、声や気配を感じる機会を自然に生み出す住宅を目指した姿勢は評価に値する。
一つ一つの空間は決して広くないが、床の高さをずらしながら緩やかに縦方向へつなぐことで、視線や音が行き交い、住宅全体にワンルームのような一体感が生まれている。
限られた都市の敷地条件を、家族の関係を育む空間へと転換した点を高く評価した。
Gallery
会話する必然性を再編集する住まい

白と黒のどちらを注視するかによって“人により異なった捉え方をする”、ルビンの壺と呼ばれるこの図形。
SNSやAIの急速な普及により、人々は膨大な情報に囲まれて生活している。しかし同じ情報に触れていても、その受け取り方や解釈は人それぞれ異なり、情報リテラシーの低下やデジタルデバイドによる分断が大きな社会課題となっている。
さらに昨今の住宅は、「居室」とそれらをつなぐ「廊下」で構成されている。はっきりと性格を二分したこの空間では、廊下に阻まれ、これらの分断を更に助長しているようにも思える。
一つの価値観を押し付けるのではなく、多様な捉え方を受け入れた上で、人と人とのつながりを育む環境がこれまで以上に求められているのではないだろうか。
本建築では、『居室である廊下』と『廊下である居室』を連続させた。
キッチンへ向かうための階段は、本を読んでくつろげるベンチでもあり、テレビのある場所は、家族が挨拶を交わしながら通り過ぎる通路でもある。
受け取り方や使い方は色々だ。両面的な場所が連続して展開することで、空間の境界はにじみ、緩やかにつながっていく。その結果、家族はどこにいても互いの気配や息遣いを感じ取ることができる。
同じ空間ではありながら、人によって異なる空間となる。だからこそ人との繋がりを生むこの住宅を
ルビンの家【Rubin's House】」と名付けた。

都市型志向住宅でありながら、外部を内包し木質感に溢れさせ、都市の喧噪から解き放たれた空間の提案。

3層を貫くヴォイドとスキップフロアによって、多層階でありながら平屋のような空間の連続性を実現。

ヴォイドで全体が繋がる空間でありながら、互い違いで住み手のプライベートな居場所づくりも行った。

木の香りを連れてくる玄関

巡らせた小上がりは会話のきっかけに

ちょっとしたヌックで腰を落ち着ける

外を介して家族と繋がるバルコニー

外部を取り込むヴォイドは住まいに緑を導く

